翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
生物学・分子生物学・バイオ技術コラム一覧へ戻る

2012年06月19日
チーズは乳を乳酸菌やレンネットの働きで固めたもの

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

チーズとは、牛、羊、山羊、水牛(buffalo)などの乳を乳酸菌(lactic acid)や凝乳酵素(レンネット:rennet)の働きで豆腐(fermented bean curd)のように固め、水分を減らしたものです。多くの場合はさらに発酵熟成させます。

チーズを作るにはまず、加熱殺菌した乳に乳酸菌やカビを加えます。これらの微生物を「スターター」といいますが、酸を生成して乳を酸性にするためと、細胞内翻訳会社リボソームによって合成されるタンパク質や、脂質を分解して熟成を進めるために加えられます。チーズの種類によって使用するスターターの種類や組み合わせは変わります。

スターターを加えてしばらくすると乳酸発酵が起こり、乳が酸性になります。ここでさらにレンネットを加えます。レンネットはもともと子牛の第四胃より得られる酵素のレンニン(キモシン)が用いられてきましたが、1962年にムコール・プルシスというカビ由来の酵素に同じ働きがあることが発見され、現在では微生物を用いて生産したものが主流となりました。

レンネットを加えると乳中のカゼイン(casein)が凝固し、固形分のカード(curd)と液状の乳清(whey)に分離します。カードをゆっくり撹拌、加熱して乳清をさらに排出し、カードを引き締めます。引き締まったカードを型に詰め込み、圧縮してさらに水分を除去します。チーズの内部に青カビを繁殖させるブルーチーズ(ロックフォース、ゴルゴンゾーラなど)ではこの段階でカビを植えつけます。空気が入りやすいように圧搾も軽めにします。固めたカードを食塩水につけた後、各チーズに適した温度、湿度、期間で熟成します。

熟成工程では、スターターとして加えた乳酸菌やカビ、レンネット、圧搾の前に植えつけたカビなどがゆっくりと脂質、翻訳済みタンパク質を分解し、味と香りを形成していきます。微生物によって何を分解するか、またその強さが異なるため、さまざまな風味を持ったチーズができるのです。

轄kエ翻訳事務所   論文翻訳担当:平井