翻訳家によるコラム:生物学・分子生物学・バイオ技術コラム

生物学・分子生物学・バイオ技術コラム by平井
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2012年09月04日
電力だけで海水から飲み水がつくれる

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で論文翻訳を担当している平井と申します。

分子生物学やバイオテクノロジーをはじめとする生物学全般に関する翻訳や、医学論文、生化学、ライフサイエンスに関する翻訳など、生物学や医学において、複数の分野にまたがる翻訳も扱っています。指名でのご依頼もお受けしておりますのでご相談ください。

今回のテーマは、海水淡水化用の逆浸透膜装置、ミネラル成分の析出防止、pH調整、沖縄県北谷浄水場についてです。

逆浸透法は海水淡水化(seawater desalination)が最大の応用です。電力だけで海水から飲み水がつくれるので、中東(Middle East)をはじめ世界中で数多くの施設が稼働しています。

沖縄県北谷町の海水淡水化施設では海岸から海水を汲み上げ、逆浸透膜(reverse osmosis membrane)装置により1日あたり4万トンの飲料水をつくっています。まず汲み入れた海水に凝集剤(flocculant)を添加して濁り成分を凝集させ、この粒子をろ過器で除去、次いでpH調整を行います。逆浸透膜モジュールは構造が複雑で内部の洗浄が困難であるため、逆浸透モジュール内でのミネラル成分の析出防止(prevention of precipitation)や膜素材保護のため、薬剤によるpH調整も行います。また、十分不純物を除去した海水を高圧ポンプにより60〜80気圧もの高圧で逆浸透膜装置に送入します。

海水である原水の塩分濃度(salt level)は3.5%ですが、膜を投下した水の塩分濃度は0.05%以下になります。逆に供給した海水は膜装置の出口で塩濃度5.8%まで濃縮されます。この濃縮海水による浸透圧の関係で、取水した海水のすべてを飲み水にすることはできず、40%程度だけが飲み水となります。

このように実際の逆浸透膜の使用では、原水の前処理が非常に重要です。

轄kエ翻訳事務所   医学翻訳・分子生物学翻訳・生化学翻訳担当:平井