翻訳家によるコラム:政治経済・アート・スポーツコラム

政治経済・アート・スポーツコラム by佐々木
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2012年02月27日
山口県光市の母子殺害事件について

こんにちは。轄kエ翻訳事務所で政治分野の翻訳を担当している佐々木です。

今回のテーマは山口県光市で発生した母子殺害事件の最高裁判決についてです。

1999年4月に山口県光市で発生した母子殺害事件の差し戻し上告審で、最高裁判所(supreme court)は殺人(murder)、強姦致死(sexual abuse resulting in death)罪などに問われた被告の上告を棄却する判決を言い渡し、死刑(capital punishment)が確定となりました。2000年に山口地方裁判所、2002年に広島高等裁判所で無期懲役(unlimited imprisonment)の判決が下されましたが、検察の上告に対して最高裁判所は2006年に広島高裁の判決を破棄。その後の差し戻し審で2008年に広島高裁は死刑判決を出し、最高裁も今回それを指示した形となりました。しかし、最高裁の裁判官4名のうち1名は反対意見を述べるなど、最後まで難しい判断だったことがうかがえます。

今回の争点は少年法(juvenile act)と更生の可能性でした。少年法では18歳未満の少年に死刑を適用することを禁じており、犯行当時18歳1か月だった被告に対しても、1審と2審では「被告に立ち直りの可能性がないとは言い難い」との判断によって無期懲役となりました。しかし、審理差し戻しの際に、最高裁は「年齢が死刑を回避すべき決定的な事情とまでは言えない」とし、無期懲役へと向かっていた裁判の流れが変わりました。

世界的に死刑廃止論が高まっている中、今回の判決には賛否両論があるでしょう。しかし、凶悪な犯罪には厳罰を科さなければ社会が成り立たなくなってしまいますし、被害者や遺族の気持ちを察すると、死刑判決は妥当ではないでしょうか。被告は自分がどれほど残酷なことをしたのかを見つめ、判決を真摯に受け止めてほしいと思います。

轄kエ翻訳事務所 政治翻訳担当:佐々木