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Academics across the globe
日本では世界的に類を見ないほどの人口の急速な高齢化と、国民医療費の約半分にも及ぶ老人医療費の増加が大きな社会問題となっています。今日の疾病構造は悪性腫瘍、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)で死因の過半数を占めています。これらの危険因子となる肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症、あるいは骨折の原因となる骨粗鬆症などは加齢に伴い増加しますが、過食・偏食や過度の飲酒・喫煙、運動不足などの不適切な生活習慣と密接に関係しているものとして、従来の「成人病」に代えて今日では「生活習慣病」と総称されています。最終的に寝たきりや認知障害を増やし、国民医療費と介護療養費を増加させるため、その予防や早期発見および治療は重要な今日的課題です。
生活習慣病の概要を概説すると、まず肥満は高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化症などの発症因子であり、今日の生活習慣病主体の疾病構造においては、「肥満は万病のもと」とさえ言われています。栄養過多、肥満、運動不足などが原因となり発症するインスリン非依存型糖尿病は近年ますます増加しており、40歳代になると10人に1人は罹患しているとされています。同じく栄養過多と運動不足が原因となる高脂血症では、コレステロールを血管内壁に沈着させ動脈硬化を促進する低密度リポ蛋白コレステロールと中性脂肪の血中濃度が上昇する一方、末梢組織から余剰のコレステロールを回収する高密度リポ蛋白コレステロールが減少するため、動脈硬化の危険性が高まります。高血圧は塩分の過剰摂取やストレスなど種々の要因により発症します。これらの疾患は、環境要因と個々人の遺伝的要因が組み合わさって慢性的な経過を経て発症し、動脈硬化を促進させて最終的に脳卒中や虚血性疾患を増加させます。
たとえば補完・代替医療は現代西洋医学以外の方法による治療であり、漢方、鍼灸、アーユルベータなど各国の伝統医学や民間療法、栄養補助食品、絶食、菜食、長寿食、ハーブなどの食事、ハーブ療法、バイオフィードバック、催眠療法、リラクゼーションなどの心理療法、感覚に訴えるアロマセラピー、音楽療法、からだを動かす太極拳、ダンスセラピー、運動療法、物理的刺激を利用した温泉療法、指圧、マッサージ、カイロプラティック、動植物を育てて安楽を得るアニマルセラピー、園芸療法など多くの種類が存在します。これらは方法論のみならず、効果や作用機序に関する科学的根拠が確立していないものもあります。しかし、生活習慣病のように発症要因が複雑であり、相互に合併する慢性疾患に対しては薬物療法では限界があるため、補完・代替医療は健康を全般的に回復させる治療法および予防法として注目されています。欧米では比較的安価な補完・代替療法を取り入れ、医療費削減を図り、両者をうまく組み合わせて、全人的で生活の質(QOL)を考慮した理想的な統合医療を実現しようとしています。
翻訳という仕事を通して医療関係者や一般の方々の知識向上に寄与し、医療費増大などの日本が抱える問題の解決に少しでもお役に立ちたいと思います。 |
看護・介護・医療翻訳担当のY.O.です。
医療機器メーカーで実際に申請・治験業務に携わった経験を生かし、申請・治験業務担当者がどれほど厳しい状況の中で即戦力となる翻訳を求めているかを身をもって知っている者として、当局に受け入れて頂ける完成度の高い訳文をお届けできるよう、医療分野や薬事動向に常に目を向け、現場の皆さまのお声を聞かせて頂いております。 また、大学で学んだ言語学の分析手法や翻訳・編集の会社での経験に基づき、自身の訳文が曖昧さのない、用語の整合性がとれたわかりやすいものとなっているか、批判的に多方向からのチェックを行い、最善の状態で納品させて頂くことを念頭に置いております。
→Y.O.が担当する「医学・薬事申請コラム」はこちら |
看護・介護・医療翻訳担当の西島です。
医療機器メーカーでの翻訳経験を生かし、医学・医療分野の論文を中心に、日英・英日の翻訳を10数年にわたって手掛けています。難しい内容の仕事を受けることが多いのですが、資料の研究や用語の確認には時間をかけて、ていねいに進めるようにしています。 |
看護・介護・医療翻訳担当の山口です。
医学・医療分野の翻訳を10数年にわたって手掛けています。特に分野による用語の違いに配慮しながら、専門の方以外にも読みやすい文章を心がけて翻訳作業をおこなっています。医学論文では用語が多くなりますが、読み手を意識しながら、文体をできるだけ簡潔にし、内容が把握しやすくなるよう心がけています。 |
- 血管拡張用バルーンカテーテルの説明文書、承認申請用書類、治験関連資料(和訳)
- 造血幹細胞移植(Hematopoietic stem cell transplantation)のガイドライン(和訳)
- iPS細胞(induced pluripotent stem cell)の作製技術に関する文献(英訳)
- 冠動脈バイパス手術(coronary bypass grafting)に関する文献(英訳)
- 慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)の症例報告書(英訳)
- 緩和ケア(palliative care)に関する記事(和訳)
- 麻酔の合併症リスクに関する報告書(和訳)
- 人工透析(artificial dialysis)の間隔に関する文献(和訳)
- 統合失調症(schizophrenia)治療薬の資料(英訳)
- 糖尿病と心不全の関連性に関する文献(和訳)
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ケース1 |
原文
If monotherapy alone does not achieve/maintain an HbA1c target over 3 months, the next step would be to add a second oral agent, a GLP-1 receptor agonist, or basal insulin.
一般的な訳文
仮に単独投与が3ヵ月間にHbA1c目標を達成/維持しなかった場合には、次の段階が2つ目の経口薬、GLP-1受容体作動薬または基礎インスリンの追加になる。
適切でわかりやすい訳
単剤投与で3か月の間にHbA1c目標を達成あるいは維持できなかった場合には、次の段階で2つ目の経口薬、つまりGLP-1受容体作動薬か基礎インスリンのどちらかを追加することになる。
改善点
主語の置き換えと「つまり」の追加によって意味が明確になっています。
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ケース2 |
原文
The majority of individuals with type 2 diabetes are overweight or obese. In these, intensive lifestyle intervention can improve fitness, glycemic control, and cardiovascular risk factors for relatively small changes in body weight.
一般的な訳文
2型糖尿病患者の大部分は太り過ぎまたは肥満である。彼らにおいては徹底的なライフスタイル介入が、比較的小さな体重変化で健康、血糖コントロール、心血管リスク要因を改善する。
適切でわかりやすい訳
2型糖尿病患者の多くは太り過ぎか肥満であるため、彼らに対して積極的なライフスタイル介入を行えば、体重をあまり変化させることなく健康状態と血糖コントロール、および心血管リスク因子を改善させることができる。
改善点
全体像を捉えた上での意訳によって読みやすくなっています。
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ケース3 |
原文
PET/CTと外科的処置の間に化学療法や他の治療を受けた患者を対象とした際には、病理組織学的データが利用不可能な場合に限り、放射線/臨床データを対照標準として使用した。
一般的な訳文
For patients who underwent chemotherapy or other treatment between PET/CT and surgery, we used the radiological/clinical data as the reference standard if histopathological data were unavailable.
適切でわかりやすい訳
In patients who received chemotherapy or other treatment between PET/CT and surgery, and when histopathological data were unavailable, we used the radiological/clinical data as the reference standard.
改善点
冒頭の「in patients」によってその後の文章が把握しやすくなっています。また、「when histopathological data were unavailable」の強調が原文のニュアンスを反映しています。
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ケース4 |
原文
Nitroglycerin and other organic nitrates remain the most common treatments for patients with stable and unstable angina pectoris, myocardial infarction, and heart failure. The beneficial effect of nitroglycerin stems from its ability to be converted to nitric oxide, thereby increasing blood flow to the heart by dilating coronary arteries, and decreasing cardiac preload by venodilation. However nitroglycerin's benefits are limited by tolerance that develops after continuous treatment. Mechanisms contributing to nitroglycerin tolerance include increased oxidative stress, endothelial dysfunction, and increased sensitivity to vasoconstrictors.
一般的な訳文
ニトログリセリンとほかの有機硝酸エステルは、安定および不安定狭心症、心筋梗塞や心不全の患者にとって最も一般的な治療であり続けている。ニトログリセリンの有益な効果は、一酸化窒素へと変換されるそれ自体の能力に由来するため、冠動脈拡張による心臓への血流量増加や、静脈拡張による心負荷の減少をもたらす。しかし、ニトログリセリンの効果は、継続的な治療の後に生じる耐性によって制限されてしまう。ニトログリセリン耐性の一因となるメカニズムには、酸化ストレスの増大や内皮機能障害、血管収縮因子に対する感受性増強が含まれる。
適切でわかりやすい訳
ニトログリセリンとほかの有機硝酸エステルは現在でも、安定および不安定狭心症、心筋梗塞や心不全の患者に対する治療で最も頻繁に用いられている。ニトログリセリンはその有益な効果が、一酸化窒素へと変換されるそれ自体の能力に由来するため、冠動脈拡張による心臓への血流量増加や、静脈拡張による心負荷の減少をもたらす。しかし、継続的な治療の後に生じる耐性が、ニトログリセリンの効果を制限してしまう。ニトログリセリン耐性の一因となるメカニズムには、酸化ストレスの増大や内皮機能障害、血管収縮因子に対する感受性増強などがある。
改善点
includeの対象を「〜など」で要約することによって文章が簡潔になります。
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