「直訳」「意訳」と「翻訳」の違いとは
「直訳」と「意訳」についてのご質問をときどきお受けすることがあります。これについては、スタッフとも同様の話をして、訳し方の方向性を確認していますが、一般に「直訳」「意訳」と使われる場合、「工夫のない堅い訳文」と、逆に「意味は近いが元原稿をアレンジしすぎている訳文」という悪いニュアンスで使われていることが多いと思います。(株)高橋翻訳事務所が進めているのは、「直訳」でも「意訳」でもなく、文字通り「翻訳」です。
文章を部分ごとに同じ順序で訳語に置き換えていくのではなく、原稿を一文を全体として理解した上で、訳文として最も自然な品詞に転換し、その品詞を同じ文章内で最も自然な位置に移動させます。同じ意味であれば、最も簡潔な表現になるよう、構文を工夫します。また、論文、契約書、新聞記事、広告文など、用途に応じて言い回しを変えながら訳していきます。たとえば、It is reported that 〜という文章は、新聞記事などの場合、Reportedly〜という非常に短い表現が可能であることなど、それぞれの専門分野の担当が背景知識とも併せて処理をおこないます。
日英翻訳、英日翻訳とも、主語と述語が離れすぎていない、係り方がわかりやすい文章であることを目標にします。その際のチェックポイントとしては、英日翻訳の場合、よい訳文では読点が片寄ることなく、バランスよく配置されています。日英翻訳の場合、関係詞に頼ることで主語と述語が離れてしまうことがないようにし、一文の前半を読んだ時点で大体の意味が取れるような構造になるよう意識して訳していきます。
「翻訳」という場合、「直訳」とは異なり、いろいろと意識しながら処理すべき点が非常に多くあり、それをおこなわないと不自然な直訳調の訳文になってしまいます。
このような方法に則って翻訳作業をおこなえば、ほとんどの場合、規則的な処理が可能で、いわゆる意訳は不要になります。例外としては、原稿自体が不自然で、普通に訳すことができないということがあり、その場合は、「前後関係からこのような意味と推測されます」といったメモをお付けし、ご確認いただくようにしています。
また、断片的に読めてしまう箇所に最小限の接続詞を補うなど、翻訳として必要十分な処理をおこなうものの、原稿の意味が変わらないよう、忠実に訳していくのを基本と考えています。
社名などの固有名詞については、ネット検索で可能な限り確認をおこない、確認できないものについては、「このように処理しました」というメモをお付けして最終確認をお願いしています。医療機器、IT関連、国際関係など、変化の非常に早い分野では、常に情報収集をおこない、契約書などの法律分野についても、翻訳会社としては珍しい日本商事仲裁協会会員として、資料研究を進めています。
医療機器 ・ 薬事申請 関係については、 JAAME 等の講習会への参加を通して、この分野の翻訳には欠かせない最新情報の把握に努めています。また、 契約書 ・ 法律 分野の翻訳については、 翻訳会社 としては珍しい日本商事仲裁協会会員として、セミナー参加や各種英文契約書 の雛形も研究し、最近の傾向も把握した上で、十分な知識に基づいた、わかりやすく説得力のある翻訳を実現しています。 |